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7月16日(月)直販と業販

2018年07月16日

某月某日

販社の社長を駅まで迎えに行く。同行して機械の営業をするためだ。
前日に「お客さんにメーカーの営業から内容の濃いプレゼンをしてもらえないか?」と依頼を受けた。正直、気は乗らない。自分のノルマに全く無関係な上に例え売れたところで販社の手柄。そんなことに労力と時間を費やすのだから気が乗らないのは当然だった。

とはいえこれが仕事であり、会社全体の販売台数を考えれば無碍にすることはできるはずもなく、言われたことはやるしかない。

「ご苦労さん」と現金でもくれればやる気になるが、ペットボトルのお茶すらご馳走してもらうのもコンプライアンスを考える時代である。そりゃ90年代はあったかも知れないが、今は間違いなくない。当たり前である。


ホールがメーカーから機械を購入することを「直販」、ホールが販社から機械を購入することを「業販」という。

販社はメーカーと販売代理店契約を結び、ホールに販売することで販売手数料を手にする。新台販売だけを生業としているケースはほぼなく、中古機、書類、設置確認など多岐にわたる業務でホールと関わる。ちなみに新台販売も1メーカーだけの代理店契約ではなく、複数メーカー扱っていることが多い。多数の機械を全て網羅することは難しく、そう考えるとメーカーの人間に営業やプレゼンを頼むのも合理的にも感じる。

他にも実は代理店契約をしていない販社がホールに営業していることもある。イメージとしては下請けや孫請けをイメージしてもらえば良いと思う。パチンコ1台売ることに対して、その内情はなかなか複雑に絡み合っている。


「ひっくり返す」
「捲る」

こういった表現は直販のホールを業販にした、業販のホールを直販にした時に使われる。縄張り争いを繰り返したりしているので現場レベルではたまに揉めたりする。

かつて、私は飛び込みで営業したホールで運良く受注に繋がったケースがあった。当時担当もほぼなかった私はウキウキだったのだが、数日後に販社から「あのホールはウチが出入りしてる店。何考えてんだテメーんとこの若い奴は」 とクレームが。

先述の通り、複数メーカー扱っている販社は1つのメーカーにかかりきりになれないので営業が疎かになってしまうこともある。その間隙をタイミング良く突いてしまっただけというオチ。
自分は悪いことをしたつもりはなかったが、こんなに怒られるんか…と悲しくなったのを今でも鮮明に憶えている。

逆に直販だったのを販社に変えられるケースは結構ある。
正直、直販のメリットと言われると…
・自社機の情報が早い
・注文殺到している機械の融通が利く
くらいしか思いつかない。前回書いた通り、情報なんぞはLINEないし、ネットでいくらでも手に入る上にそもそも新台に殺到することが昔ほどない。
大体ひっくり返されるケースで多いのが、支払いの面である。ここがメーカーは、なかなか融通が利かない。

もちろん契約書上は売主(メーカー)と買主(ホール)なのだが、保証人に販社が入る。融通が利くとは販社が機械代を立て替えて、細かい分割に出来るということ。良く捉えればホールは月々の支払いが減るので還元(?)でき…る…?

そうでなくても、財務的に苦しいホールは多いので新台を買うとなると支払い的には販社を使った方が良いのは間違いないと思う。こればかりは営業力という部分から離れているため、致し方ないという気持ちもあるが顧客を取られていい気はしない。

以前パチビーでコラムを書かれていた毒太郎さんは販社の方と思われるが、メーカーと販社というものは上層部では知らんが、現場レベルではなかなか仲良くは出来ないし、したくないというか微妙な関係である。


プレゼンを終え、社長を駅まで送る。社長の昔話は面白い。自分の引き出しが増えるような錯覚に陥るが実際、私の引き出しは増えていないのだろう。

メーカーは機械が売れないことには始まらず、「売っていただいてる」販社に対して変に縄張り意識を持つのは建設的なことではない。

業界全体が落ち込んでいる現状を思えば、足を引っ張り合うことではなく、フォローし合うのが正しいような気もする。とにかく体面や外面を気にする業界である。取っ払うべきはそういった変なプライドなのかも知れない。