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7月23日(月)ウルトラセブンとノスタルジー

2018年07月23日

某月某日

暑い。暑すぎる。
中年太りには酷な太陽である。なんとか日陰に車を停めることに成功した後、ホールの事務所へ向かう。

ホールに足を踏み入れると、京楽のウルトラセブン2が稼働中。あぁ懐かしい。筐体等は前作とは大きく変わっているためその面影もないが、前作のぱちんこウルトラセブンは本当によく打った。ホールのBGMとして流れる主題歌を聞けば、13年前の思い出が昨日のことのように…

2005年当時、地元でウルトラセブンを打っていた私。セブンは導入後かなりの頻度で打っており、大勝ちすることもなかったが、大負けもなかったので相性は良いと感じていた。その日は運良くエレキング前半からウルトラ警備隊に助けてもらい復活大当り。で、連チャンが止まらない。
しかし、どうしても外せない用事がありもう帰らなくてはいけないのだが、止まらない。2万発…3万発…と増え続けるセブン。もう限界というところで隣の知らないお姉さんに「もう帰らにゃいかんので打ちます?」と3万数千発流して台を譲った。
交換して帰るときにセブンのシマに目をやると、常連の年寄り達がお姉さんの台を囲んで店員さんと揉めている姿が見えた。躊躇したが、そのまま逃げるように店の外に出てしまった。

ウルトラセブンの主題歌を聞くと、あの日善かれと思ってしたことで、台を譲ったお姉さんに不愉快な思いをさせてしまったという苦い思い出が当時のホールのタバコ臭さとともに蘇る。
お姉さん、その節は申し訳ございませんでした。今なら仲裁に入るのですが私も若かったのです。

その後も時間がなくて辞めなきゃというケースは何度かあったが、揉めないように店員さんにラムクリしてもらうようしている。最近はハウスルールで大当り中の台の譲渡は出来ないホールもあるようだ。そもそも、予定や時間の制限があるときに打つ自分が悪いのである。


現在に戻り、事務所で店長と話す。
年は近いが業界歴は店長の方が圧倒的に長い。気がつくとウルトラセブンの話から13年前、2005年辺りの話になっていた。

2004~2005年とは、今考えればパチンコにおいてある種狂った時代だった。5回リミッター廃止からまだ5年である。この5年間に確率下限は

ヘソ賞球5個 1/320(1999年)
ヘソ賞球4個 1/360(2002年)

と変遷して遂に2004年確率下限1/500に至る。

ぱちんこウルトラセブンは1/479という今では考えられない大当り確率で、82%継続というモンスターマシンだ。1/500前後のタイプは各社リリースしていたものの王道は継続率67%~75%程度。80%オーバーの継続率もあったものの、キワモノ、特殊スペックという感じだった。

やはり話題となるのは「何故1/500の確率に耐えれたのか」という点。

今日において、メーカーがどんなに凝った演出や工夫をしても1/319が死にそうなくらい重く感じるのだ。当時嬉々として1/500を打っていたのかと言われれば、何なのだろう。もちろん、遊技環境がそもそも違う。私が打っていたホールも非等価で今と比べたらアホくさくなるほど回った。演出面で言えば擬似連もない時代である。海ほどではないものの変動秒数も短い。この2つが合わさることで多少なりとも1/500を打つというハードルは下げられたのではないか。

それでなくてもパチンコユーザーは確変50%に抑圧されていたのだ。そこに高継続という大きなリターンがぶら下がっているのだ。その反動は今の高継続に慣れているユーザーには想像も付かないものだと思う。結局のところ1/500が支持される下地があり、ホールの主軸として大事に扱われたが故に重い確率にも耐れた、というところだろうか。

店長は「まぁ甘デジもなければライトミドルもほとんどない時代の話だから測る物差しも今ほど細分化されてないのもあるでしょ。尺度が今と違うから比べてもしかたがないよ…」と、もっともらしいことを言っていた。


ビッグコンテンツはシリーズ化されて何度も何度もリリースされるが、ウルトラセブンのようにここまで期間の開くケースはなかなか稀ではある。これは当時打っていた20代も、現在はアラフォーに差し掛かっていることを鑑みるとマーケティングの世界で話題の「ノスタルジー消費」に繋がりやすいとも言える。

今後、メーカーが年齢という部分に局所的に訴求するのであれば40歳以降の層にノスタルジー消費を促す方に向かうのではないかと思う。もちろん人間ドキドキしたりワクワクしたりしたい。刺激を求めるところが40歳以降は「昔馴染んだもの」に向かうと心理行動学的に提唱されている。映画やCMのヒットしたものを分析した結果論のようにも聞こえるが、実際ここにもウルトラセブンを見ただけでノスタルジーに浸っている私のようなおっさんがいるのだ。

昔の台は今と違い演出も少ない。しかし、発せられる情報が少ない分、その1つ1つが我々の感情を大いに揺さぶってくれた。だから今でも匂いがするくらいに思い出せる。

デァァァァ!!というハイパーセブンフラッシュを。

歳取ったんだなぁ…と店長と笑いながら事務所を後にした。