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この25年で変わったこと

2023年06月15日
良い悪いは別として。この25年で変わったなと思うことがあります。もちろん、機械に関しては大きく変わりました。25年前といえば4号機の技術介入時代。そこから爆裂AT機やストック機の時代を経て5号機時代に。5号機初期はノーマルやRTの文化でしたが、押し順ATが全盛となり、今の6号機・スマスロへと繋がっていきました。

と、機械だけを考えれば別物と感じるかもしれません。しかし、私はそれ以上に“パチスロ環境”が大きく変わったと思っています。

33年前、私が初めてパチンコを打ったのは、予備校近くの大きくはないホールでした。28年前、再びパチスロ熱に火がついたのも家の近所の小さなホールでした。昔の東京においては、規模よりも“歩いて行ける”ことが大事だったと思う次第です。

会社帰りに最寄りの駅でフラリと。新台のノボリなど否が応でも目に入ります。気軽に立ち寄れるので、来店機会も多くなります。必然的に誰でも狙い台を作れることが増え、朝から晩まで勝負することも増えます。そして、出ている台を目の当たりにして「今度の新台は凄そう」などという感想に至ります。

そう。「東京においては」ですが。多くの店舗数があることで、パチンコ・パチスロという存在自体を思い出す業界全体の広告効果。歩いていける範囲内にホールがある日常性。出玉を多くの人が目にする見せ玉効果。と、一石二鳥どころではない効果があったのです。

しかし、ご多分に漏れず。東京も数多くあった中小店が減っていって、今やパチンコホールのない住宅街の駅が多くなってしまいました。

中小のホールが減って、大型店ばかりになる。総設置台数が変わらなければ問題ないのでは。いや、違うんです。いずれにせよ車などで遠出をしなければいけない。結果的に規模が大きくないだけのホール。地方で中小店をイメージするとこうかもしれません。「打ちに行こう」となって初めて意識する時点で、規模は関係なく同じことだと思います。

東京の中小店は違いました。駐車場はなく、歩いて通える人がターゲット。駅前の分かりやすい立地にあることが多く、要は近所の人の目に触れてナンボだったのです。それが広告効果を生み、そのホールでなくても「あの台が気になる」というライト層を生み、遊技人口の下支えとなっていたんです。

その東京の中小店が減るということは「打ちに行こう」と思うようなリピーター以外、初見の人への露出が減るということに繋がります。療養生活をして思いますが、ホールがなくなった駅に住んでいるもので、情報を収集しようという気概がなければ、パチンコ・パチスロのことを滅多に目にしないものですよ。もう一部の人たちだけの閉鎖気味な趣味という自覚を持つべき。

では、昔のように東京の中小店がたくさんある状況になれば・・・って、それは難しいですよね。あの当時の営業形態の長所は、それだけのホール数が成り立っている環境だったからということが多いです。だから「あの頃に戻れば」というのは無理なんです。現実的ではないんです。店舗数も少なくなって、その代わりに大型店化した今に合わせた形にしていくしかないのです。

では、なぜ東京の中小店が減ったのか。

そもそも、繁華街にあるような大型店と、住宅街近くにある中小店では好まれる機種が違うと思っております。例えばジャグ系。これは歩いて行ける範囲で打ちたいでしょう。ジャグの設定6が打てるかもしれない。それくらいで、わざわざ電車で3時間かけて行きますか? それだけ時間をかけて行くならば、万枚も目指せるようなド派手な機種を打ちたいと思うことでしょう。

逆に、近くはジャグ系のほうが良いと思います。家の近くで日常的にヒリヒリした勝負ばかりでは疲れます。また、そういう機械は、資金力のある大型店のほうがお宝台に座れる可能性も高いように感じます。わざわざ可能性の低いと思っている場所で打ちたくない。目が血走っているところをご近所さんに見られてもアレでしょう。したがって、そういった派手な跳ねる機種は不向きなんです。家の近所は日常的に遊べる穏やかな機種のほうが向いているんです。

しかし、この25年。パチスロメーカーは派手な跳ねる機種ばかり作ってきました。近所の中小店に向くような機種が少なかったので、必然的にそれ以外の機種を集めないといけなくなりました。こうして、不向きな機種ばかりとなって中小店はより苦戦をしていったと見ています。

中小店に向くような機種を作らなかったメーカーが悪いとはまったく思いません。会社として当然のことです。中小店向きの機種を作ったところで、資金力のない中小店はまず買いません。また、そのような中小店向けの機種は、大型店には不向きなので、そこが多台数導入してくれることも考えにくいです。売れないんです。それなら、資金力のある大型店向けの機種を作る。派手で跳ねる「遠くから人を呼べる」機種を作る。当たり前のことでしょう。

誰も悪くないんです。メーカーは、資金力のある大型店に買ってもらえるような機種を作る。大型店は遠くからお客さんを呼べる機種を揃える。ユーザーは、なるべく勝てる可能性が高いホールまで行く。それぞれの立場でベストを尽くした結果です。これが時代の流れというものかもしれません。

だから、ホールの軒数が今の倍以上あった25年前と同じように、営業形態を一部でも戻そうという意見はナンセンスに感じてしまいます。無理なんです。それよりも、もはや違うものとなったことを受け入れて違う形を模索していったほうがまだ建設的と思います。戻すではなく新しく作る。それがたまたま昔と同じになる可能性はありますけどね。

このままでは、一般の人への広告効果がないので、新規層を開拓したいのであれば考える必要がある。諦めるのであれば既存ユーザーからより効率的に収益を上げることを考える。近所にあって身近だったからという客層は繋ぎ止めきれないので、遠くからお客さんを呼べるスタイルにする。日常ではなく非日常。私の好きだったホールの在り方ではありませんけれども。

私は機種を掘り下げる人というイメージを持たれることが多いですけど、実は最初からそうだったわけではありません。楽しませて勝たせてくれる優良店ならば、機種は何でも良いと思っていました。そのホールに設置されている機種を勝たせてもらいながら「どうせならより楽しむために」打ち方などを模索する。より勝てるように効率的な手順を考えるだけです。

技術介入機時代を代表する名機の1つである「レッツ」。実は、私の身近な優良店に導入されていなかったので、現役時代にはリアルタイムで一度も打っていないんですよ。撤去される直前に打っておもれ〜となりましたが。

その毎日のように行きたいと思った好きなホールを失った時、もの凄い虚無感が襲ってきました。正直、パチスロを辞めようと思ったくらいです。そこら辺りからですね。機種を調べることに特化しはじめたのは。例えダメなホールでも、機種を目一杯楽しめれば良いではないか。このクソ店を選んだわけではない。この機種を選んだだけだ。そうやって代わるものを探すようになりました。ホールを愛せなかったから、機種を愛したんです。ただそれだけです。

この当時は正確な役構成があって、それを参考にできましたからね。今は正確な役構成が非表示でOKとなったので、機種を調べる楽しみはまったくなくなりました。答えが分からないもん。ノーヒントすぎます。「これは面白そう」と役構成を見て打ちたいと思うこともなくなりました。

「検証する」という方向で機種に逃げることは難しくなっています。今、好きなホールを失ったタイミングだったとしたら、私の方向性はどうしようもなかったでしょうね。だから残ったホールは、機種に頼るのではなくホール自体が、通う人々の「好きな場所」であり続けていただきたいと思っております。