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新機種導入

パチスロライター 仕事の流儀(発表会編)

2023年10月15日
最近は調べるというよりも紹介というスタンスが強くなっていますが、昔はメーカーvsライターといった具合にバチバチと調べていたものです。またいつの日かそのような時代になったとして、私は動けなくなっていることでしょう。

そこでふと思いました。初めての機種を見る際に何を考えていたのか書き残しておこうと。


正直、随分と書きやすくなりました。4号機時代は「そんな簡単に違う基板のものを(裏モノ・非正規基板)作れるんだ」と警察から言われないように、発表会やショールームに特別な仕様の台が置かれていることも口にしにくかったのです。しかし、そんな事情を知らない若い世代がペロ〜ンとyoutubeなどで公開したりしまして。なし崩し的にその存在が知られることとなり、そのおかげで私も話しやすくなりました(笑)。

そんな発表会やショールームの基板ですが、立てたいレアフラグなどを成立させられる“強制基板”となっていることが多いです。機種によってはボーナスを成立させる際に同時成立する1枚役を選べなかったりもしますが。少なくとも、普通に設定6を打つよりも効率良く調べられます。当りとか全カットできますし。

ただ、どこまで効率良くできるかは考え方次第です。

私の場合、弱小と呼ばれる雑誌に長く在籍していましたし、その後は雑誌よりもプライオリティが低かった(当時)WEB媒体で取材などを担当していました。ぶっちゃけまして、大手とは何もかもが違うのです。まず、大手はマンパワーがあります。そして、取材枠も漫画誌などと合わせて取るので長時間実戦することも可能です。それに対して私は、たった一人のことも多かったですし、時間も限られていて当たり前でした。

遊技機規則などを学んだのもそれが大きいですね。遊技機規則違反となるような考え方をハナから消せれば、余計なことを調べる手間が省けます。メーカーさんに無駄な質問もしなくて済むので時間の短縮につながります。取材をより効率的にしたかったから遊技機規則を学んだと言っても過言ではありません。

導入前に新機種を触れるチャンスは大きく分けて2回。発表会とショールームでの取材です。今回はまず発表会で考えていたことをば。

まず、発表会はなんのために開催されているのか。機種を調べる前にそれを理解する必要があります。こういう話は、先輩から後輩へ同じ媒体内で時に怒られながら受け継がれていくものですが、そういう先輩が煙たがられる時代なので、特に後輩もいないここに書いておきます(笑)。

メーカーさんが発表会をするのは、私のようなライター風情に打たせるためではありません。全国のホールさんに機種を知ってもらって、セールスにつなげることを目的としています。なので、打つ優先順位としては「ホールさん>ライター」となります。

有名版権の場合、ホールのお偉いさんが機種選定者でもないであろう若い女の子を連れてきて、そういう子に限ってエラい長くどかなかったりもしますが、そういうものと割り切ります。つまり、より時間は限られることになります。ここは調べるところでなく「調べるところはどこか」探りを入れることを主目的とします。新機種ニュースなどを書くのであれば、それなりにゲームの流れだけは把握しておきますが。

台を前にしたとして。最初に取る行動は「正確な役構成を撮影すること」でした。必ず台をキープしましたが、その中で打つのはかなり遅いほうでした(笑)。

最近は、正確な役構成を表示しなくても良くなっていますが。正確な役構成があれば、打たなくても考えられることがいろいろあるんです。ボーナスに2種BBがあれば、ベースは低そうで確率が高そうとか。発表会が終わった後、次の取材までに考えるチャンスができるのです。それ以外も見返せますしね。

ここから先は、ゲーム性によっても変化します。

まず、AT機の場合。基本的には「打たないことのほうが良い場合が多い」です。より多くの台が見える後方に移動します。考えても見てください。もし、自分が打っていた場合、何かが起きて注目できるのは自分の台と両隣くらいのものです。合計3台。打っていなかった場合、目に入る多くの台数の中から「自分が見たい事象が起きている台」をより詳しく観察することができます。

AT機などの場合は、後からでも考えられる材料をしっかり準備しておくことが第一目標でした。打つことよりも。

打って分かることも多そうじゃない? そう思われるかもしれませんが、AT機ですよ。既にボーナスを隠し持っているので、RTモード(リプレイ確率)が推移することはありません。適当に打っても代用図柄などでリプレイが揃ってくれることでしょう。また、BAR落としなどのオーソドックスな手順は見える範囲の誰かがやってくれます。それ以外に自分で打たなければならないほど特殊な打ち方があったとしたら、押し順小役などを置くのが難しくなります。もはやAT機ではありません。

だからAT機は打たないのも正解です。自分と両隣くらいしか見えないのであれば、自分が見たい事象が起きている台に注目できる体勢でいたほうが効率的です。暇なら、打っている人が楽しそうかどうか観察しておけばよろし。機種紹介以外の原稿で役立つかもです。


続いて、ボーナスが大事なノーマル系の機種の場合。こちらは打ちます。打ちまくります。このような機種の場合、派手な機種と違ってホールさんは大抵面白さが分からないんですよ。空き台が多く出がち。

ここで発表会の主眼を思い出しましょう。ホールさんに買ってもらうことです。「知らんけど、マニアそうな人が楽しそうに打っていた」そう思われるだけで、メーカーさんもライターを招いていて良かったとなります。

ノーマル系の場合は、打ってナンボです。経験値の積み上げがすべて。目押しミスなど意図しない箇所を押した際に偶然、攻略要素や面白ポイントを発見するなんてよくある話です。なので、こちらは最初から全力となります。

さて「調べるところはどこか探りを入れることを主目的とする」と書きました。これはさまざまな要素があって抽象的になってしまいますが。概ね消去法です。例えばAT機の場合、当りとなるゲーム数(テーブル)や連チャンゾーンを少ない実戦から特定するのは難しいですよね。そんなの2時間ごときでは、どんなに強制基板が優秀でも、効率良く調べたところで分かりません。そういうのを省いていくことですね。

言い換えれば「決めつけたら危険」なポイントを理解することです。いくら調べたところで意味がありませんから。

いや、たまにライターでも騙されてメチャクチャなことを書くことも無きにしも非ずですが。うん、メーカーの営業マンに騙される人も多すぎ。「メーカーさんが言っていたので間違いありません」そういうことも多々ありますが、それでは遊技機規則違反ということも多いです。大体、発表会だからと駆り出される営業マンにまで、開発レベルの情報が降りていることは稀です。で、自分達で考えた間違っている説をさもメーカー公式のように語ることが多いのです。それはできないと見抜くチカラも大事。って、脱線しましたな。

当りパターンの演出も決めつけたら危険なものの1つです。強制的に当てる場合、特定の演出しか出ないケースも多々ありますから。この演出は出ただけでアツいと捉えられたら間違いで、この演出が出てこうなったらアツいは間違っていない(出現率は無視)ということも。そうやって間違いを減らしていくと、メーカーさんの監修もパスしやすいというか。メーカーさんの監修をパスしやすい原稿を書けば、その編集部から次のお仕事もいただきやすいです(笑)。


まあ、最低限の知識(遊技機規則)は必要ということです。いざ入ってみて、パチンコ・パチスロの世界って、他の業界とは大違いだなと感じました。

私、前職は損害保険の営業部社員だったんですが、損保の代理店資格や生保の販売員資格は取らされました。普通に取るのではなく満点でパスすることを義務付けられました。販売店に指導する立場として、優秀な成績なのは必須と言われていました。

新機種を紹介する仕事なのに、遊技機規則すら読み込もうとしないとか、意味が分かりません。集客する仕事をするのに風営法を知らないとかあり得ません。だって、遊びの延長ではなく仕事なんですから。読者さんにお金を使わせることを発信するのですから。

もちろん、遊技機規則を間違って解釈してしまうこともあるでしょう。それを正しい知識を取り入れて改め続けようとする姿勢が大事。その貴重な機会の1つがこういった新機種発表会だったと思います。