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5月21日(月)数字の甘辛で測れないもの

2018年05月21日

パチンコは(スロットもそうですけど)甘い、また辛いという表現で語られます。カレーや日本酒と一緒ですね。(?)

もちろんパチンコユーザーは日々遊んでいる中で機械の甘辛を体感していることでしょうが、ホールとメーカーの話での甘辛とは若干違います。

ホールやメーカーは全国データというもので各種データを確認します。ホールコンメーカーが吸い上げたデータを販売しているので、それを買うわけです。全国のパチンコ店の25%~30%くらいデータが集計されたものです。

ユーザーが回せる回転数で体感している主観と、全国データで見る甘辛だと結構乖離するかな…分母の大きさが違うので当たり前なんですけど。
サンプルが膨大なので1日だけのデータでも特に大当り確率はほぼ近似値に収束します。

端的に言うとパチンコは甘いか辛いか、動くか動かないか

1番良いのは辛くて動く台、1番悪いのは甘くて動かない台です。

かなりざっくりですが、機械の評価基準はこれだけなんですよね。面白いといった要素は数字を分析する1つのファクターとしてあるのかも知れませんが、求められているのはあくまで客観性を持った無機質な数字。

営業に、商品に、説得力を持たせたくてホールもメーカーも自店、自社の主観で考えようとしているところを全国データを注視して客観的になろうとしているんですね。

【基板が暴れる】
基盤と基板……
これを書き間違えると理系の人がシュバババと現れて怒られます。電子部品に対しては"基板"です。と…

会社に入ったばかりの頃、先輩に同行してホールを回っていました。あるホールで我が社の入ったばかりの新台がアホみたいに出ていました。
事務所で先輩が
先輩「いや~すみません。思ったより甘く動いちゃってます?」
と聞くと店長は
店長「まだ基板が暴れているだけだから大丈夫」
と答えたのを鮮明に覚えています。

自慢ではないですが、学がなく、想像力が欠如しているレタスは(パチンコってそんな意味不明な要素があんのかよ。とんでもないことを知ってしまった。やべーよ…やべーよ…)とマジで思いました。

あれから数年経って思うのですが、基板が暴れるという表現は、なかなかどうしてウィットに富んだワードセンスでした。

ホールがパチンコ台を購入して使うことを"運用"とも言います。この店長の発したワードの大前提には長期的な運用の息吹が見え隠れするわけです。基板が暴れるという表現は「まだ試行回数が少ないから」ということに他なりません。甘い辛いの議論ができる時期ではないという意味だったかなぁと今になって思います。

どうしても私のような落伍者は目の前で起きている事象に右往左往しがちですが、十分なサンプルが揃うまでジャッジしないというスタンス、長期的な運用を見据えた考え方は別にパチンコ店の範疇に収まらず、見習わなくてはいけないなぁと関心しきりです。

【数字で現れないもの】
色々考え方はありますが、最近は短いスパンでの運用が多いように感じますね。短期間でどれだけブッコ抜くかが重要視されており、恐るべき速さで客を飛ばす悪循環に陥っています。

先ほど客観性のある数字として全国データとは言いましたが、個別の店のケースに全て当てはまるわけではないのです。考えることを放棄したのか、二次利用(売却など)での運用なのか、少なくとも営業における運用としても悪手のようにも感じます。

そもそもメーカーもそういう機械を作り、高値で販売しているわけで、減価償却できないものを売ってることが大きな問題なんですけど……

結局のところ、"客観的"な視点に立とうとしていてもパチンコ業界内という井の中なんですよ。新しいビジネスモデルとかではなく、現代に適応したビジネスモデルを誰も作ろうとしない。

安価で長期的な運用が期待できる機械を作ろうとしているメーカーはあっても、このコラムで言及してるように機械評価以外の外的要因に妨げられることが多いです。

これからはもっと甘い辛いに差が設けづらくなりますので、フューチャーされるべきは面白さや楽しさ、多様性といった今まで数字で測れないものに重点を置いた機械です。そんな機械が登場してほしいと切に思いますね。はい。