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パチンコメーカーの工場見学

2019年04月15日

平成も残すところあと半月。切り替わりを待っている区間のようですが、4月ということで新年度がスタートしました。通っているホールにも新規のスタッフを見かけるようになっていくことでしょう。

そんな新規スタッフですが、最近はパチンコ・パチスロの経験がないという方も増えてきています。それも想像以上に。どれが正確な数字かわからないですが、多くの割合の方が未経験というデータも目にしました。18歳未満は遊技できないので、致し方ない部分もありますけどね。

ユーザーは慣れっ子になってしまっていますが、かなり特殊な空間です。音などの問題もありますし、ズラっと並んだ機械を前に黙々と作業する人たち。接客業にしてはハードルが高いですし、機種への知識もある程度は必要になります。

ホールスタッフの方々って、機種のことをどう考えているのだろう。利益を出すための道具と考えるのが自然でしょう。しかし、好きな機種を選んで打っているユーザーは、冷めたことを言わないで愛着を持って台に接してほしいと願うものではないでしょうか。その台に愛着があれば、その台を打っている我々の気持ちも少しはわかってもらえる気がする……なんてね。

打ったこともなければ、パチンコ台に興味や愛着を持つのも難しい話です。無機質に見える機械。売れる機種は10万台とか多くの台数が導入されるので、ベルトコンベアーの流れ作業で専用の機械が組み立ててくれないと間に合わないように感じてしまいます。“単なる機械”として作られているものなのか? パチンコメーカーの工場を見学してきました。



伺ったのは、2018年に『コスモアタック』を発表した愛喜さん。馴染みがないかもしれません。“普通機”と呼ばれるアナログで玉の動きを楽しむタイプの機種を作っているメーカーさんです。液晶もありません。デジタルで数字が揃うこともありません。確変もございません。元号は令和に変わりますが、昭和のパチンコを思い出させてくれる機種となっています。

工場見学のスタートは朝礼から。さいたま地区の活力朝礼コンクールで優勝した朝礼とのことで、ユニークなものとなっていました。社員さん同士で肩を叩きあったり、それぞれ個人がエピソードトークをするなど。一人で活動することばかりのライターには新鮮でなりません(笑)。


パチンコ台といえば、くぎがたくさん刺さっているものですが。最初からくぎが刺さった状態ではありません。大型の機械で打ち込みます。とはいえ、いっぺんに全部が刺さるわけではありません。座標軸でプログラミングしてあり、機械はその通りに高速ながらも1本1本打ち込んでいきます。と、あらかたは機械任せですが、最初のほうに刺さるくぎが正しいかどうかは目視で確認するそうです。

ちなみに、くぎは垂直ではありません。5度の角度があるそうです。垂直だと玉が落下するのが速すぎるそうな。現代のパチンコの元祖となった正村ゲージもそうしていたとか。こういう蘊蓄(うんちく)を聞けるのもメーカーさんならではです。


くぎを刺し終えたら、次は風車を取り付ける機械に。写真がヘッポコでかたじけないです。一瞬で取り付けてしまうので、撮影の難所だそうです。風車は、くぎと違って垂直です。斜めになっていると風車が回転しにくくなるんですね。とはいえ、風車を付けるだけの機械があるなんて。くぎ打ち機と比べたら滞在時間も短すぎました(笑)。

と、ここまでは機械が主役。人間は確認作業くらいのものでした。しかし、それだけではパチンコ機はできあがりません。



くぎと風車が終わったら、役物の工程に。電動ドライバーで1つ1つを取り付けていきます。こういった作業は、大手メーカーでも手作業とのこと。羽根モノなどで“役物の出来、不出来”を感じる方も多いでしょうが、手作業ですから当然のことなんです。ネジを締める角度が微妙に違うとかありますから。個人的には、ネジを締めるよりもネジを電動ドライバーで受け取るほうが難しかったです(笑)。

そんな感想を書いているように、ここからの工程は、工場見学者が自ら体験することもできます。


続いては、盤面の裏で玉の流れる部分やメイン基板の取り付けです。ネジ締めのほかにハーネス(電線)を繋ぐ作業。後ろができたら今度は前。下皿なども取り付けていきます。突然、端折っていますが、もちろん手作業です。こんなのを簡単に付けてくれる機械はありません(笑)。


扉やガラス板を取り付けて完成! ……いや、まだです。しっかり動作するか、保通協に届け出たのと同じ釘になっているか。メーカーの方は最後にも厳しい目で見て、そして打って確認をしています。

こうして、はじめてホールに並べることができるのです。数々の人の手が加わっています。そこには「打ってくれるユーザーに楽しんで欲しい」という想いも加わっているのです。機械とはいえ、自分たちの手で作ったものが、多くのユーザーに喜ばれることを願わない人はいないでしょう。


工場見学に行って、改めて感じました。パチンコ台って意外なほど手作りなんですね。様々な部品を様々なジャンルの工場で作ってもらって、最後に合体させるのは手作業。液晶がある超最新鋭の機械だって、基板にハーネスで繋げなければ動いてくれません。

だからなんだ。機械は機械だ。そういうのもわからなくはありませんが「楽しんで欲しい」という、組み立ててくれた人々の想いをちょっとでも感じたいじゃありませんか。


パチンコ・パチスロ未経験のホールスタッフが増えているという話を書きましたが、こういった工場見学は“パチンコに親しみと興味と知識を持たせる”研修として最適ではないでしょうか。こうやって組み立て作業に参加させてもらえると、パチンコ台に対しての愛着も湧くでしょう。ほら、離職率とかもありますし……。

幸いにして、愛喜さんは工場見学大歓迎と仰ってくださっています。ホールの研修担当者さんは、チェックしてみてはいかがでしょうか?

https://aiki-p.com/tour.html

一般ユーザーは行けないの? 過去には“パチ7”というサイトのオフ会企画も受け容れてくれましたし。パチビーがやってくれるかも? 期待しましょう(投げっぱなしな要望・笑)。